「会社に行きたくない」が2週間続いたら|受診のサインと、産業医・心療内科の使い分け

更新日:8月8日
こんにちは。Stay Fit Clinic 院長の薮野淳也です。
「会社に行きたくない」——
この感覚を一度も持ったことがない人は、おそらくいません。
休み明けの朝、苦手な会議の前、長い連休のあと——理由のあるなしに関わらず、誰もが経験する自然な感情です。
ただ、私が心療内科医として、また産業医として15社以上を担当する立場から、はっきりお伝えしたいことがあります。
「会社に行きたくない」という感覚が2週間以上続いているなら、それは医学的な相談タイミングです。
「気の持ちよう」「甘え」「もう少し頑張れば慣れる」と片付けず、一度立ち止まって読み進めてみてください。
なぜ「2週間」が一つの基準なのか
精神医学の世界では、抑うつ状態を診断するときの一つの目安として「2週間」という期間が使われます。
これは『精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版(DSM-5)』におけるうつ病性障害の診断基準に基づくもので、以下のような症状が2週間以上ほぼ毎日続いている場合、医学的な評価対象になります。
・抑うつ気分(気分が落ち込む、空虚感)
・興味や喜びの喪失(楽しめない、何も面白くない)
・睡眠の問題(不眠・過眠)
・食欲の変化(食欲低下・過食)
・疲労感・気力低下
・集中力の低下、決断困難
・自分を責める気持ち、無価値感
「会社に行きたくない」が単独で出ているだけなら、まだ様子を見てもいいかもしれません。
ところが、上記のような症状が2週間以上、複数同時に続いているなら、適応障害やうつ病性障害の可能性があります。心療内科や産業医への相談をお勧めします。
自己判断で「もう少し頑張る」が一番危ない
外来でよくお会いするのは、こんな方々です。
・「ここまで来たから、もう少し頑張れると思って…」
・「人事に相談したら大ごとになりそうで言えなかった」
・「医者に行くほどじゃないと思っていた」
・「気合いで乗り切ろうとしていたら、ある朝起きられなくなった」
メンタル不調の特徴は、「もう少し頑張れる」と思っているうちに、ある時点で急に動けなくなることです。
私が見てきた中で、
・不眠が2週間以上続いている
・食欲の波が激しくなっている
・朝、布団から出るのに30分以上かかる日が増えている
・通勤途中に涙が出る、吐き気がする
・休日も全く回復しない(むしろ憂鬱)
——こうした状態が重なっているのに「まだ大丈夫」と判断している方ほど、後に重い適応障害やうつ病性障害の診断に至るケースが多くなっています。
「迷ったら受診」が、結果的に最短の回復ルートです。
「会社に行きたくない」サインの3つのレベル
ご自身の状態を客観視するために、3つのレベルで整理してみてください。
レベル1:気分の問題(数日〜1週間)
特定のタスクや時期に絡んで「行きたくないな」と感じる。
週末には回復し、月曜の朝には何とか起きられる。
→ 多くの人が経験する一時的な感情。経過観察でOK。
レベル2:身体症状を伴う状態(2週間以上)
不眠、食欲変化、疲労感、動悸、頭痛、胃痛など、身体の不調が同時に出ている。
休日も完全には回復せず、日曜の夜から憂鬱が強まる。
→ 受診を検討すべきライン。心療内科または産業医に相談。
レベル3:機能不全の状態(数日でも)
朝起きられない、通勤途中で動けなくなる、涙が止まらない、仕事中に集中できない、自分を責める気持ちが強い。
→ できるだけ早く受診。今日明日中に予約を取ることをおすすめします。
「自分はレベル2かもしれない」と思った時点で、すでに受診のタイミングです。
レベル3まで悪化させる前に、相談先を確保しておきましょう。
「産業医」と「心療内科」の使い分け
働く方からよく受ける質問が、「産業医に行くべきか、心療内科に行くべきか」というものです。
両者の役割は重なる部分もありますが、目的と機能が違います。
産業医に相談する場合
・会社が契約している産業医に、職場経由で面談を申し込む
・主な役割:就業判定(働き続けてよいか)、会社への配慮要望(業務量調整・配置転換等)、休職の必要性判断
・治療行為(診断書発行・薬の処方)は基本的に行わない
・守秘義務はあるが、就業判定の結論は会社に共有される
心療内科に相談する場合
・ご自身で予約を取り、保険診療として受診
・主な役割:診断、治療(薬物療法・心理療法)、診断書の発行、経過フォロー
・会社には何も伝わらない(受診の事実も含めて)
・必要なら産業医や上司への提出用診断書を出してもらえる
心療内科の受診を検討している方は、当院で相談できる内容と受診前の確認事項をまとめた「初めての方へ」をご確認ください。
両方使うのが理想
産業医に「働き続けてよいかの就業判定」を、心療内科に「治療と診断書発行」を、それぞれの強みで担ってもらう連携が、もっとも回復が早く、復職もスムーズです。
私自身は、産業医として15社以上の企業に関わりつつ、Stay Fit Clinicでは心療内科医として外来診療を行っています。この両方の視点を持っているからこそ、患者さんの状況に応じた最短ルートをご提案できます。
Stay Fit Clinicでできること
Stay Fit Clinicは、働く人のためにつくった内科・心療内科です。
・仕事帰りに通いやすい立地(南青山・外苑前)
・平日夜間・土曜診療あり
・心療内科に加えて内科も併設しているため、身体症状の評価(甲状腺機能・貧血・睡眠時無呼吸など、メンタル不調と紛らわしい身体疾患の除外)まで一貫対応
・必要に応じて、提携先の産業医や会社の産業医との連携も可能(ご本人の同意のもと)
・英語診療対応可
「会社に行きたくないが、どこに相談していいか分からない」
「診断書を出してもらうべきか迷っている」
「上司に相談する前に、医師の見立てを聞きたい」
こうした段階でも、お気軽にご相談ください。
診断書をすぐに出すことだけでなく、回復への一歩目をご一緒に探すことがクリニックの役割だと考えています。
初めて受診する方向けに、予約方法や当日の流れを「初めての方へ」にまとめています。
東京・南青山への来院が難しい方は、「遠方で受診が難しい方へ」のページもご覧ください。休職・復職・会社との向き合い方を整理するためのnote・書籍・YouTubeをまとめています。
まとめ
・「会社に行きたくない」が2週間以上、身体症状とともに続いているなら、医学的な相談タイミング
・「もう少し頑張れる」と自己判断しているうちに動けなくなるのが、メンタル不調の特徴
・産業医(就業判定・会社調整)と心療内科(診断・治療・診断書)は役割が違うため、両方使うのが理想
・迷ったら、まず受診。早い相談が、結果的に最短の回復ルートになる
Stay Fit Clinic 院長 薮野淳也
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▶︎ 【医療】Stay Fit Clinic(働く人のための内科・心療内科)
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✔ 不眠・食欲不振などの身体症状が出てきた
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参考文献
・American Psychiatric Association. (2013). Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (5th ed.). DSM-5
・厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」
https://kokoro.mhlw.go.jp/
・厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)令和5年」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r05-46-50_gaikyo.pdf
仕事の不調が続き、来院が難しい方は、休職・復職相談のオンライン診療もご確認ください。




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