top of page
検索

私が適応障害を乗り越えた方法― 休まず、整えながら働き続けた産業医/経営者の実体験から ―

  • 執筆者の写真: stayfitclinic
    stayfitclinic
  • 6月30日
  • 読了時間: 5分

更新日:4 日前

こんにちは。Stay Fit Clinic院長の薮野淳也です。


私は、働く人の体調と向き合うクリニック「Stay Fit Clinic」と、厚労省指定の運動療法施設「CrossFit Aoyama」を運営しながら、10社以上の企業で産業医として活動しています。


2024年12月に『産業医が教える会社の休み方』という本を出版しました。


タイトルだけを見ると「会社を休む方法」が書かれているように思われがちですが、


本当に伝えたかったのは、「体調を崩したとき、どう働き方を立て直すか」ということです。


なぜなら、私自身がかつて適応障害の状態に陥ったことがあるからです。


そしてそのとき私は、事業主として、休まずに働きながら整えるという道を選びました。


――そうせざるを得なかった、というのが事実です。


自分自身のことなので、医学的に正解だったかどうかは今でも分かりません。


ですが、産業医としてではなく“働く人の一人”として、そのときどう考え、どう過ごしたかを今回は書いてみたいと思います。


私が適応障害を乗り越えた方法
私が適応障害を乗り越えた方法

事業主として、止まれなかった日々


当時の私は、産業医業務を続けながら、


立ち上げたばかりのクリニックと運動施設の経営に追われていました。


現場の責任者として、「仕事をすべて止める」という選択肢はありませんでした。


けれども、心身は確実に悲鳴を上げていた

  • 頭が働かない

  • 眠っても疲れが取れない

  • 小さなことにも過敏に反応する


ある時期から、すべての出来事がネガティブに見えるようになりました。


考えすぎて、すべてが悪い方向に見えていた


不調が続くと、思考自体が歪んできます。


事実を過剰に悪く解釈し、未来に希望が持てず、


誰かの何気ない一言にも「否定された」と感じてしまう。


今振り返れば、完全に認知が偏っていた状態だったと思います。


信頼していたスタッフに助けてもらえなかったこと


さらに苦しかったのは、


信頼していたスタッフが、助けてくれなかったことでした。


経営を改善するための建設的な議論を期待していたのに、まったく動いてくれなかった。


こちらが言わなくても察してくれるはず──とどこかで期待していた自分もいたと思います。


でも、その期待は裏切られた。


見て見ぬふりをされたように感じたこともありました。


その失望、怒り、そして「そんなことも言えなかった自分の弱さ」への嫌悪感。


複雑な感情の中で、事業は続いていきました。


今となってはそのスタッフとは別の道を歩むことになりました。


単純にミスマッチだったんだなと今では思います。


「休まず整える」という現実的な選択肢


私は医師として、自分の状態が医学的に適応障害の基準に当てはまると自覚していました。


先輩医師に相談し、最低限の睡眠薬や漢方薬を調整してもらうなど医療的な介入も受けつつ、


仕事を完全に止めず、整えながら働き続けるという方針をとりました。


これは『産業医が教える会社の休み方』にも書いた、


「完全に休む」以外にも選べる回復のかたちがある、という私自身の実感です。


適応障害に対して私が実践した4つのこと


① よく寝る


睡眠の立て直しは、回復のスタートラインです。


眠れなければ、体力も気力も回復しません。


私は睡眠の質を最優先にし、生活リズムを徹底的に整えました。


場合によっては医師の管理のもとで、睡眠薬の力を借りることも適切です。


② 体を動かす


『産業医が教える会社の休み方』でも紹介したように、運動は「回復のアクセル」です。


幸い私はCrossFit Aoyamaを経営している立場だったので、仕事の合間を見て体を動かすことを止めませんでした。



③ 情報を絞る

SNS、メディア、メール、チャット…


頭を過剰に刺激する情報源から距離を置くことも大切でした。


“思考を増やさない”という感覚は、常に回転している脳の機能を減らすセルフケアでもあります。


④ 人に頼る/手放す


「全部自分でやらなければ」という思考を手放し、


仕事の一部を人に委ねる、手放す、遅らせることを自分に許しました。


これは当時の私にとって、いちばん難しく、


でも最も効果的だった調整だったと思います。


「止まらなくても回復できる」という選択肢を伝えたい


本にも書きましたが、「休職しないと治らない」わけではありません。


もちろん、きちんと休むことが必要な方もたくさんいます。


でも、現実には「休めない人」もいます。


事業主、フリーランス、経営層、家庭の担い手──私もその一人でした。


そうした人たちには、


“働き方を調整して回復する”という選択肢が必要です。


最後に


私は、体調を崩したことで、大切なことを学びました。

  • 信頼していた人が必ずしも助けてくれるわけではない

  • 自分の思考は、体調に大きく左右される

  • でも、整え直せば再び働けるようになる


『産業医が教える会社の休み方』には、そんな経験のエッセンスも込めました。


あのときの自分に、そしていま同じように苦しむ誰かに、


「完全に止まらなくても、回復できる」という選択肢も伝えられたら嬉しく思います。


Stay Fit Clinicは銀座線外苑前駅徒歩3分の立地にある、ビジネスパーソンのための内科心療内科です。


今回書いたような働く人々のお困りごとを解決するのが得意です。


初診予約をご希望の方はこちらをご覧ください。


Stay Fit Clinic 院長 薮野淳也


▶ あわせて読みたい





▶ 関連リンク


働く人のパートナードクター 薮野淳也


\ サービス一覧はこちら /





\ SNSでも発信しています /


note


 
 
 

留言


bottom of page