GW明けの不調を立て直す3週間プログラム|医師がすすめる回復のステップ(港区・外苑前)
- stayfitclinic

- 5月11日
- 読了時間: 6分
更新日:5月19日
「GW明けからずっと体が重い」「気合いで乗り切ろうとしたけれど、追いつかない」
そう感じている方が、毎年この時期に外来で増えます。多くの方が「いつもなら数日で慣れるのに、今回は治らない」とおっしゃいます。
GW明けの不調は、気合いで乗り切るものではなく、段階的に立て直すものです。
この記事では、産業医・心療内科医として働く立場から、自宅でできる3週間の立て直しプログラムと、どのタイミングで受診を検討すべきかをお伝えします。

まず大事な前提:GW明けの不調の「立て直し」は段階的に進める
GW明けの不調を放置すると、夏に向けて悪化していくケースが少なくありません。
一方で、いきなり全部を変えようとすると挫折します。
身体は「変化」に対して保守的にできているため、段階的に強度を上げるのが正解です。
3週間プログラムの全体像はこうです。
・Week 1:体内リズムをリセットする
・Week 2:自律神経を整える
・Week 3:仕事との距離を再設計する
順に解説します。
Week 1:体内リズムをリセットする
GW中に生活リズムが乱れた方は、まずここから始めます。
起床時刻を固定する
寝る時間ではなく、起きる時間を決め打ちします。
体内時計を整える最も強い同調因子は「光」です。起床時刻を固定することで、毎日同じタイミングで朝の光を浴びられるようになり、結果として体内時計がリセットされます。
注意点が一つあります。
「眠れなくても布団に入っていれば良い」というのは間違いです。
眠くないのに布団に入ると、脳が「布団=眠れない場所」と学習し、不眠を悪化させます(睡眠衛生学で「刺激制御」と呼ばれる考え方)。
眠くなってから布団に入る、眠れなければ一度リビングに戻って静かに過ごす──これが正しい順序です。
朝の光を15分浴びる
起きたら15分、外に出るかベランダに出て光を浴びます。曇りの日でも屋外の光量は室内より十分強いため効果があります。
光が目から入ると、脳の視交叉上核(体内時計の司令塔)が刺激され、約14〜16時間後に松果体からメラトニンが分泌されます。
このメラトニンが夜の眠気を作る正体です。
朝の光が、夜の眠りを設計していると考えてください。
食事を3回・同じ時間帯に戻す
連休中に食事の時間がバラバラになっていた方は、まず3食・同じ時間帯に戻します。
食事も体内時計の同調因子の一つで、特に朝食が重要です。
Week 2:自律神経を整える
体内リズムが戻ってきたら、次は自律神経のバランスを整えます。
GW明けの不調の多くは、交感神経が高ぶりっぱなしで、副交感神経の出番がない状態です。意識的に「ゆるめる時間」を作る必要があります。
就寝の90分前にぬるめのお湯で入浴
38〜40℃のお湯に10〜15分浸かります。
ポイントは「時間」より「タイミング」です。
入浴で一度上がった深部体温が、お風呂上がりにゆっくり下がるタイミングで自然な眠気が来ます。就寝の90分前を目安にすると、入眠がスムーズになります。
夜のスクリーン時間を減らす
22時以降はSNS・動画を控えます。ブルーライトの影響だけでなく、SNS・動画は脳を覚醒モードに保つコンテンツであり、入眠を遅らせる強い刺激になります。
1日1回、深呼吸の時間を作る
4-7-8呼吸法(4秒吸う・7秒止める・8秒吐く × 4セット)など、副交感神経を素早く優位にする呼吸法があります。
1日1回、3分でいいので、意識的にゆるめる時間を作ってください。
Week 3:仕事との距離を再設計する
身体と神経のバランスが戻ったら、最後に「仕事との関係」を見直します。
タスクの棚卸し
GW明けの不調を訴える方の多くが、抱えているタスク量に対して、回復のキャパシティが足りていません。
・今抱えているタスクを紙にすべて書き出す
・「今やる/来週でいい/誰かに渡す/やらない」の4つに分類
・上司と「やらない」「渡す」の合意を取る
ここで一人で抱え込むと、また蓄積疲労に逆戻りします。
不安を言葉にする時間を作る
GW明けの不調の根っこに、「仕事への不安」を抱えている方も少なくありません。
不安は言葉にすることで、扱いやすくなります。
言葉にすると前頭前皮質が活性化し、扁桃体の過剰反応が和らぐことが、Lieberman らの脳画像研究(*Psychological Science*, 2007)で示されています。
信頼できる相手に話す、紙に書き出す、産業医や心療内科に相談する。
「自分の中だけで抱える」状態から脱出することが、Week 3 の核心です。
「効いている」サインの見分け方
3週間プログラムを試したら、こんなサインが出てきます。
・朝起きるのが、少しだけ楽になっている
・食事を「美味しい」と感じる瞬間がある
・仕事のことを考えても、気が重くならない時間帯がある
・休日に「何もしない」が苦痛でなくなる
・睡眠時間・体重が安定してくる
全部出てこなくていいです。1〜2個でも出てくれば、確実に効いているサインです。
効いていないとき:受診を検討するタイミング
3週間プログラムを試しても改善しない場合、または以下の症状が2週間以上続いている場合は、医療機関の受診を検討してください。
・朝起きた瞬間から強い憂うつ感がある
・出社前に吐き気・腹痛・動悸が起きる
・夜眠れない、または夜中に何度も目が覚める
・休日も気分が晴れず、何をしても楽しくない
・些細なことで涙が出る、感情が不安定になった
・仕事中に集中できず、ミスが明らかに増えた
・「もう辞めたい」「消えたい」という考えが浮かぶ
これらは適応障害・うつ病の初期症状と重なります。
「もう少し様子を見よう」と思った時点で、すでに受診のタイミングであることが少なくありません。
迷ったときは、産業医面談・心療内科・かかりつけ医、どこからでも入り口になります。
Stay Fit Clinic でできること
Stay Fit Clinic(港区南青山・外苑前駅徒歩5分)では、働きながら通える内科・心療内科として、GW明けの不調にも対応しています。
・不眠・倦怠感・自律神経のバランス調整
・適応障害・うつ病の初期対応
・復職・休職の判断と診断書発行
・必要に応じて運動療法(CrossFit Aoyama)への橋渡し
「病院に行くほどじゃないかも」と迷っている方こそ、早めの相談が回復の最短ルートです。
まとめ
GW明けの不調を立て直す3週間プログラム:
・Week 1:体内リズムをリセット(起床時刻固定・朝の光・食事3回)
・Week 2:自律神経を整える(入浴・スクリーン制限・深呼吸)
・Week 3:仕事との距離を再設計(タスク棚卸し・言語化)
ポイントは、「気合いで乗り切らない」「焦らない」「自分を実験台にする感覚」。
3週間続けても改善しなければ、迷わず受診してください。
適切なタイミングで一手打てるかどうかで、その後の数ヶ月が大きく変わります。
GW明けのこの時期、無理せず一緒に立て直していきましょう。
関連記事
執筆:薮野淳也(Stay Fit Clinic 院長/産業医・心療内科医/著書『産業医が教える 会社の休み方』中公新書ラクレ)
参考文献
・厚生労働省『労働者の心の健康の保持増進のための指針』
・厚生労働省『健康づくりのための睡眠ガイド 2023』
・Lieberman MD et al. Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity in response to affective stimuli. *Psychological Science*, 18(5):421-428, 2007
・Bootzin RR. Stimulus control treatment for insomnia. 1972
▼ Stay Fit Clinic(内科・心療内科)
・港区南青山 / 外苑前駅 徒歩5分
・ご予約・お問い合わせ:https://www.stayfitclinic.tokyo




コメント