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「仕事を辞めたい」と心療内科に来てくれた方へ

  • 執筆者の写真: stayfitclinic
    stayfitclinic
  • 5 時間前
  • 読了時間: 6分

こんにちは。働く人のパートナードクターの薮野淳也です。


先日、Stay Fit Clinicの診察室で、こう話される方がいらっしゃいました。


「実は、仕事を辞めたくて来ました」


「辞めたい」という気持ちを抱えて受診される方は、私のクリニックでも珍しくありません。

むしろ最近は、増えていると感じています。


このページを読んでくださっているということは、似たような気持ちを抱えている方かもしれません。


今日は、そんな方に、心療内科医として最初にお伝えしていることを書きます。


「仕事を辞めたい」と心療内科に来てくれた方へ
「仕事を辞めたい」と心療内科に来てくれた方へ

心療内科は、仕事を辞めるために来る場所ではありません


最初に、率直にお伝えしておきたいことがあります。


心療内科やメンタルクリニックは、本来「仕事を辞めるために来る場所」ではありません。


私たち医師の役割は、診断書を発行することでも、退職の意思決定を後押しすることでもなく、医学的にあなたの心と体を整えることです。


「辞めたいから診断書をください」という相談だけで、診断書を書いてサインしてお見送り、ということは私たちはしません。

それは医療として、本質的ではないからです。


でも、「正しく判断できる状態」に戻すことは、医療の役割です


その上で、私は次のように考えています。


体調が悪くて、正常な判断ができない状態にあるなら、医療として一緒に整理できることがあります。


「辞めたい」と強く感じている時、多くの方は次のような症状を抱えています。


・朝、起きるのがつらい

・出社前に体調が悪くなる

・休日も気持ちが休まらない

・眠れない、または寝すぎる

・食欲がない、または食べすぎる

・集中力や判断力が落ちている


これらは、医学的に「ストレス反応」として説明できる症状です。

DSM-5(精神医学の診断基準)では、適応障害の代表的なサインとして整理されています。


この状態で考えている「辞めたい」は、判断としては最善ではない可能性が高い。

これは性格や根性の問題ではなく、抑うつ状態が認知に与える影響として、医学的にも知られている現象です。


つまり、まず体調を整えることが先で、退職するかどうかの判断はその後、という順序になります。


40%の体調で考える「仕事を辞めたい」と、80%で考える「これから」は違う


私が産業医面談でも、診察室でもよく伝える話があります。


体調が40%まで落ちている時に考える「辞めたい」と、80%まで回復してから考える「これからどうするか」は、見えている景色がまったく違います。


40%の状態では、「すべてが嫌だ」「逃げ出したい」と感じやすい。

80%まで戻ると、「あの上司は嫌だけど、業務自体は嫌いじゃなかった」「異動の選択肢もあるかも」と、細かく考えられるようになります。


これは抑うつ状態の認知への影響と、回復過程での視野の広がりとして、医学的に知られている現象です。


だから私はまず、こう伝えます。


「『辞める』の判断は、もう少し体調が戻ってから、一緒に整理しましょう」と。


心療内科でできる3つのこと


私たち心療内科医ができるのは、次の3つです。


1. 体調を整える

睡眠、食欲、気分、不安、集中力。

これらが安定する状態まで、薬物療法・生活指導・必要に応じて休職診断書の発行などで支援します。


2. 仕事を辞めたいと思わせるストレッサーを整理する

「辞めたい」の背景にあるものを、一緒に整理します。

特定の上司、業務内容、評価制度、人間関係、ライフイベント。要因は複合的なことがほとんどです。


3. 選択肢を持って判断できる状態にする

最終的に「辞める」「続ける」「異動を打診する」「休職する」のいずれを選ぶかは、ご本人の判断です。

私たちはその判断ができる状態まで、心身を整えるサポートをします。


辞めるか、続けるかの判断軸


体調が戻ってきたら、一緒に整理するのは次のような観点です。


ストレッサーは、属人的か構造的か


特定の上司や同僚が原因(属人的)なら、社内の異動で解決できる余地があります。

組織文化や評価制度そのものが原因(構造的)なら、社内調整では難しいケースが多く、転職も視野に入れる議論になります。


業務内容そのものが、自分に合っているか


ストレッサーが解消されても、業務内容に違和感があるなら、それは別軸の話です。

ただ、これも体調が戻ってから考える内容。今すぐ答えを出す必要はありません。


経済的・生活面の状況


退職するなら、退職後の生活設計、傷病手当金や失業保険の活用、転職活動の進め方など、現実的な計画も並行して考える必要があります。

ここは医療側だけでは完結しないので、必要に応じて他の専門家とも連携します。


産業医として、私が伝えたいこと


私は産業医として15社以上を担当しています。

その中で見えてくるのは、職場は基本的に「仕事をする場所」だ、というシンプルな事実です。


復職時に過度な配慮を期待しすぎても、現実とのギャップに苦しむことがあります。

一方で、ストレッサーが残った職場に無理に戻っても、再発のリスクが高くなる。


このバランスをどう取るかが、復職・退職の判断で一番難しい部分です。


だからこそ、心療内科の主治医と一緒に、丁寧に整理することをおすすめしています。

一人で考えると、極端な選択肢(「全部辞めて全部リセット」または「全部我慢して続ける」)に流れがちです。


精神障害の労災請求件数は、2023年度に3,575件と過去最多を更新しています(厚生労働省 過労死等の労災補償状況)。


「辞めたい」と感じているのは、あなただけではありません。

社会全体で、メンタル不調と仕事の関係が問われている時代です。


まとめ


「仕事を辞めたい」と心療内科に来てくれた方へ、私の立場を整理します。


・心療内科は、退職の意思決定をする場所ではない

・ただ、体調が悪くて正常に判断できないなら、整える支援はできる

・体調が戻ってから、選択肢を持って決めればいい

・一人で抱え込まなくていい


すぐに答えを出さなくていい話です。

ご自身のペースで、一緒に整理していければと思っています。


ここまで読んでくださった方へ


「辞めたいけど、本当に辞めていいのか分からない」

「もう少し冷静に考えられる状態に戻りたい」


そう感じている方を、Stay Fit Clinicでは毎日のように見ています。


港区南青山・外苑前駅近く、働く人のための内科・心療内科。

産業医として15社以上を担当している院長が、体調を整える段階から、選択肢の整理までをサポートします。


「辞めるかどうか、まだ決めていない」段階で構いません。

迷っている方こそ、まずはお越しください。



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