γ-GTP・ALT・AST が高いと言われたら|働く人の肝機能異常(港区・外苑前)
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- 6 日前
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更新日:3 時間前
健康診断でγ-GTP・ALT・ASTが高いと指摘され、不安を抱える方は少なくありません。「お酒は控えめなのに、なぜ肝機能が?」「症状はないし、放置で大丈夫だろうか?」と感じる方も多いはずです。
実は、近年もっとも増えているのは飲酒量と関係なく起こる脂肪肝(MASLD:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)です。働き盛りのビジネスパーソンに非常に多く、放置すると肝硬変・肝がんに進行するリスクがあります。
この記事では、Stay Fit Clinic(東京都港区南青山・外苑前)の医師の視点から、肝機能検査値の意味、放置のリスク、改善のステップ、医療機関に相談すべきタイミングを整理します。

肝機能の3つの代表的な検査値
健康診断で測られる肝機能関連の検査値のうち、特に重要なのは以下の3つです。
検査値 | 何を反映するか
AST(GOT) | 肝細胞のほか、心筋・筋肉にも含まれる酵素。肝障害で上昇
ALT(GPT) | ほぼ肝臓に特異的な酵素。**肝細胞障害の最も鋭敏なマーカー**
γ-GTP | アルコール性肝障害・胆道系障害・脂肪肝で上昇
このうち、ALTは肝臓の状態を最も忠実に反映します。健康診断で「ALTが高い」と書かれている場合、肝臓そのものに何らかの負担がかかっているサインです。
基準値と「奈良宣言2023」
従来、ALTの基準値は40 IU/L以下とされていましたが、日本肝臓学会は「奈良宣言2023」で、ALT 30 IU/L超を肝疾患のスクリーニング基準とする方針を打ち出しました。
これは、ALT 30〜40の範囲でも脂肪肝などの肝障害が隠れている可能性が高いことが分かってきたためです。
おおよその目安として、以下の値を超える場合は精査の対象となり得ます。
検査値 | 正常範囲の目安
AST | 30 IU/L以下
ALT | 30 IU/L以下(奈良宣言2023基準)
γ-GTP | 男性 50 IU/L以下、女性 30 IU/L以下
健康診断票で「要精査」「要再検査」と書かれていれば、放置せずに医療機関で精査を受けてください。
肝機能異常の原因 — 飲酒だけではない
肝機能の上昇というと「お酒の飲みすぎ」というイメージを持つ方が多いと思いますが、実際の原因は多岐にわたります。
1. 脂肪肝(MASLD)— 働く人で最も多い
2024年に日本肝臓学会・日本消化器病学会が決定した新名称で、従来NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と呼ばれていたものをMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)と呼ぶようになりました。
過剰飲酒がなく、肥満・糖尿病・脂質異常症・高血圧などの代謝異常を背景に発症する脂肪肝です。日本人成人の3〜4人に1人が該当すると推計されており、もはや「珍しい病気」ではありません。
2. アルコール性肝障害
慢性的な飲酒(純アルコール換算で男性30g/日以上、女性20g/日以上が目安)で発症します。γ-GTPの上昇が目立つのが特徴です。
3. ウイルス性肝炎(B型・C型)
慢性肝炎・肝硬変・肝がんへの進展リスクがあります。検査で除外することが重要です。
4. 薬剤性肝障害
サプリメント・市販薬・処方薬・漢方薬など、あらゆる薬剤が原因になり得ます。
5. 自己免疫性肝疾患
自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などがあります。
6. その他
筋肉由来(激しい運動後)、心臓由来、胆道系疾患などでも上昇することがあります。
放置するとどうなるか
「症状がないから大丈夫」と感じている方が多いのですが、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、症状が出る頃には病気がかなり進行していることがあります。
MASLDが進行する経路
```
脂肪肝 → 脂肪肝炎(MASH) → 肝線維化 → 肝硬変 → 肝がん
```
特にMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)まで進むと、自然回復は難しくなります。
MASLDが影響するのは肝臓だけではない
MASLDがある人は、心血管疾患(心筋梗塞・脳梗塞)の発症リスクも有意に高いことが報告されています。「肝臓の問題」ではなく、全身の代謝の問題として捉える必要があります。
改善のための4つのステップ
肝機能異常の多くは、生活習慣の改善で大幅に改善可能です。
1. 体重を5〜7%減らす
MASLDの場合、体重を7%減らすだけで肝臓の脂肪が大きく改善することが研究で示されています。70kgの方なら5kg減量が目標です。
2. 運動を習慣化する
・有酸素運動(早歩き・ジョギング・水泳など):週150分以上
・筋力トレーニング:週2〜3回
・運動は内臓脂肪を直接減らすため、肝臓の脂肪改善に有効です
「運動の機会がない」という方は、医師と相談して運動療法処方箋の活用も現実的な選択肢です。詳しくは 運動療法処方箋とは?もらい方・費用・使える施設を心療内科医が解説 をご覧ください。
3. 食事の見直し
・糖質(特に果糖・清涼飲料)の摂りすぎを避ける
・加工食品・ファストフードを減らす
・食物繊維(野菜・海藻・豆類)を増やす
・飲酒は適量に(純アルコール20g/日以下が目安、休肝日を週2日以上)
4. 併存疾患のコントロール
・高血圧・脂質異常症・糖尿病の管理
・健康診断で他の項目も指摘されている場合は、まとめて評価することが重要
こんな方は早めに医療機関へご相談ください
・ALT 30 IU/L超を健診で指摘された方
・γ-GTPが基準値を大きく超えている方
・BMI 25以上で、肝機能異常が出ている方
・健診で「脂肪肝」と書かれた方
・飲酒量が多い、あるいは増えている方
・倦怠感・食欲低下など気になる症状がある方
・サプリメントを多く摂取している方
Stay Fit Clinicでの対応
当院(東京都港区南青山・外苑前)では、肝機能異常を指摘された方に対して以下のような対応を行っています。
・詳細な血液検査と腹部エコー(必要時):肝機能・脂質・糖代謝・ウイルスマーカーまで包括的に評価
・生活習慣のヒアリングと改善指導:食事・運動・飲酒・睡眠の観点から具体的にプラン設計
・運動療法処方箋の発行:必要に応じて、指定運動療法施設(CrossFit Aoyama など)と連携した運動療法をご案内
・専門医への紹介:精査が必要な場合は、消化器内科専門医療機関へ円滑に紹介
・産業医視点でのフォロー:忙しいビジネスパーソンが続けられる改善プランをご提案します
院長の薮野淳也は産業医として15社以上の企業で働く方々を診ており、働きながら無理なく続けられる改善法を一緒に考えます。
まとめ
・ALT 30 IU/L超は精査の対象(奈良宣言2023)
・飲酒に関係なく起こるMASLD(脂肪肝)が日本人で増加
・放置するとMASH → 肝硬変 → 肝がんへと進行する可能性がある
・MASLDは心血管疾患リスクも高める全身性の代謝異常
・体重5〜7%減量・運動・食事・飲酒コントロールで改善可能
・早期に介入すれば薬なしで改善できる可能性が高い
初診のご案内
健診で肝機能異常を指摘されたが、自覚症状がなく何から始めればいいか分からない方。
そんな方は、早めに一度ご相談ください。検査・生活指導・必要に応じた運動療法処方箋まで、一人ひとりの状況に合わせて改善プランをご提案します。
Stay Fit Clinic 院長
心療内科医・産業医
薮野淳也
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参考文献
1. 日本消化器病学会・日本肝臓学会「NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)」https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/nafldnash2020_2_re.pdf
2. 日本肝臓学会・日本消化器病学会「脂肪性肝疾患の日本語病名に関して」(2024年8月) https://www.jsge.or.jp/news/20240820-3/
3. 日本肝臓学会「奈良宣言2023」(ALT 30 IU/L超のスクリーニング基準)
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を代替するものではありません。気になる症状や検査値がある方は医療機関にご相談ください。




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