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眠れない夜が続くとき、どうすればいい?|睡眠薬に頼る前に試すこと・受診の目安を心療内科医が解説

  • 執筆者の写真: stayfitclinic
    stayfitclinic
  • 6月29日
  • 読了時間: 8分

「布団に入っても頭が冴えて、なかなか寝つけない」


「夜中に何度も目が覚めて、そのあと眠れない」


「眠れないのがつらくて、夜が来るのが怖い」


診察室で、本当によく聞く言葉です。


私は産業医・心療内科医として働く方を毎日診ていますが、「眠れない」という相談は、年々増えていると感じます。仕事のストレス、寝る前のスマホ、不規則な生活。眠りを邪魔するものが、今の働く人にはあまりに多いんですよね。


最初に、ひとつだけお伝えしておきたいことがあります。


眠れない夜には、薬の前に見直せることがある。そして「眠れない」が続くときは、その裏にあるものに気づくサインでもある、ということです。


実際、私が外来でまずお話しするのも、薬ではなく「生活のほう」です。眠りを支える生活習慣(睡眠衛生)を整えることが、最初の一歩。睡眠薬は決して「最後の手段」でも「悪いもの」でもありませんが、その前にできることと、受診の目安を知っておくと、気持ちがずいぶん楽になります。今日はそのお話をします。


眠れない夜が続くとき、どうすればいい?|睡眠薬に頼る前に試すこと・受診の目安を心療内科医が解説
眠れない夜が続くとき、どうすればいい?|睡眠薬に頼る前に試すこと・受診の目安を心療内科医が解説

まず知ってほしい──「眠れない」にもタイプがあります


ひとことで「眠れない」と言っても、実はいくつかタイプがあります。


入眠困難:布団に入っても、なかなか寝つけない


中途覚醒:夜中に何度も目が覚める


早朝覚醒:思ったより早く目が覚めて、もう眠れない


熟眠障害:時間は寝ているのに、ぐっすり眠れた感じ(睡眠休養感)がない


睡眠は、「時間(量)」と「ぐっすり感(質)」の両方がそろって、はじめて“よく眠れた”になります。どちらか片方では足りないんですね。


とくに、早朝に目が覚めてしまう、寝た気がしない、というのが続くときは、背景にうつが隠れていることもあります。だから「ただの寝不足」と片づけてしまわないでほしいんです。


眠れない夜、薬の前に見直したいこと


睡眠薬を考える前に、生活のなかで見直せることがあります。どれも地味な話ですが、不眠の専門的な治療(あとで触れる認知行動療法)でも土台になっている、ちゃんと根拠のある方法ばかりです。


夜の眠りは、朝から始まっています


意外かもしれませんが、夜ぐっすり眠れるかどうかは、朝の過ごし方でだいぶ決まります。朝に光を浴びると体内時計が整って、夜に自然な眠気が来やすくなる。日中もしっかり光を浴びて、体を動かしておくと効きます。


運動というと身構えてしまいますが、ジムでがっつりやる必要はありません。通勤で歩く、家事で動く。そのくらいの「日中によく動く」だけで、寝つきが良くなって、夜中にも目が覚めにくくなります。ただ、寝る直前(1時間以内)に激しく動くのは逆効果なので、そこだけ気をつけてください。


夜は、「眠りを邪魔するもの」を減らす


カフェイン:効果が半分になるまで、平均で5時間ほどかかります。午前中の一杯でも夜まで残ることがあるので、「飲む時間」と「量」の両方に気を配ってほしいところ。夕方以降は控えめに。


お酒(寝酒):これがいちばん誤解されています。お酒は確かに寝つきを良くしますが、分解されてできるアセトアルデヒドが交感神経を刺激して、夜中や明け方に目を覚まさせてしまう。しかも毎晩続けると、「飲まないと眠れない、でも飲んでも眠れない」という悪循環に入っていきます。眠るためのお酒は、私はおすすめしません。


タバコ(ニコチン):覚醒作用があるので、寝つきを悪くして、夜中に目を覚ましやすくします。


寝る前のスマホ:できれば寝室に持ち込まず、電源を切って別の部屋に。寝そべって見ると画面が近くなって、余計に眠りを妨げます。


昼寝は「短く」


日中に長く昼寝をすると、夜の眠りが浅くなって、不眠が悪化します。昼寝は、夜の睡眠の代わりにはならないんですね。どうしても眠いときは、30分以内に。それ以上寝てしまうと、起きたあとのだるさ(睡眠慣性)も出てきます。


「8時間眠らなきゃ」を、いったん手放す


これは大事な話なのですが、実は「8時間は眠らないと」という思い込みそのものが、不眠を作ってしまうことがあります。


一晩に眠れる時間には限りがあって、必要な睡眠時間は人によって本当にバラバラです。だいたい6〜8時間が目安で、6時間で足りる人もいます。「8時間眠ろう」と長く布団にいるほど、眠れない時間が増えて、「やっぱり今日も眠れなかった」と感じてしまう。眠くなってから布団に入る。それくらいでちょうどいいんです。


同じ理由で、休日の「寝だめ」で平日の睡眠不足を取り戻すこともできません。むしろリズムが崩れて、かえって眠りにくくなります。


眠れない夜は、布団で粘らない


眠れない夜ほど、「早く寝なきゃ」と焦りますよね。でも、眠りは頑張って手に入れるものではありません。焦れば焦るほど、目が冴えてしまう。


布団に入って15〜20分たっても眠れないなら、いったん布団から出て、暗めの部屋で静かに過ごし、眠気が来てから戻る。「布団=眠れない場所」という結びつきを作らないことが、地味にすごく効きます。


それでも続くなら──「眠れない」の裏にあるもの


ここまでの工夫をしても、眠れない状態が2週間以上続く。日中の眠気や集中力の低下で、仕事や生活に支障が出ている。そんなときは、生活を整えても眠れない、別の原因が隠れていることがあります。


ストレスや、うつ・適応障害:不眠は、心の不調がいちばん早く出るサインのひとつです。うつ病だと、かなり高い確率で不眠がついてきます。「眠れない」を入り口に受診して、その奥にうつが見つかることは、少なくありません。


睡眠時無呼吸症候群:大きないびきや、日中の強い眠気がある方は要注意です。これがあると、いくら生活を整えても、眠りの質が上がってこないんです。


働きすぎ・生活リズムの乱れ:長時間労働は、そのまま睡眠時間を削ります。退勤から次の出勤までの間隔(勤務間インターバル)が12時間を切ると、休養感が下がって疲れやストレスが増える、というデータもあります。産業医として、ここはよく見ているところです。


「眠れないだけ」と軽く見ないでほしい。不眠は、体と心からのサインであることが、本当に多いんです。


睡眠薬は、「悪者」ではありません


「睡眠薬は怖い」「クセになりそう」。そう言って受診をためらう方、すごく多いです。その気持ちは、よく分かります。


でも、最近は依存性に配慮した新しいタイプの薬も増えていて、選択肢はずいぶん広がりました。医師と相談しながら、症状やタイプに合った薬を、必要な期間だけ使う。そうすれば、睡眠薬はむしろ回復を助けてくれる、心強い味方になります。


大事なのは、自己判断で量を増やしたり、急にやめたりしないこと。薬への不安も含めて、遠慮なく主治医に話してほしいです。


それから、不眠の治療は薬だけではありません。「認知行動療法(CBT-I)」という、考え方や生活習慣からアプローチする方法も、効果が確かめられています。ここまでお話しした生活の見直しは、まさにその土台。薬と生活の工夫は、どちらか一方ではなく、両輪なんです。


(よく使われる睡眠薬「デエビゴ」については、別の記事で詳しく書いています。気になる方は、あわせてどうぞ。)


こんなときは、一度ご相談ください


・眠れない状態が、2週間以上続いている


・日中の眠気やだるさで、仕事や生活に支障が出ている


・眠れないことがつらくて、夜が来るのが怖い


・大きないびきや、日中の強い眠気がある


「これくらいで受診していいのかな」と迷う方が多いのですが、早すぎる受診なんてありません。むしろ、こじれる前のほうが、立て直しはずっと早いです。


心療内科で、できること


睡眠衛生のアドバイスは、ネットにもあふれています。ただ、一律の情報をなんとなく試すだけでは、なかなか効かないことも分かっています。効くのは、その人の生活や背景に合わせて、優先順位をつけて組み立てた指導です。ひとりで頑張るのとの違いは、ここだと思っています。


当院(Stay Fit Clinic)では、眠りの悩みに対して、こんなことができます。


・睡眠の状態を丁寧にうかがって、不眠のタイプと背景を見立てる


・あなたの生活に合わせて、睡眠衛生の見直しを一緒に組み立てる


・必要なら、依存性に配慮しながら薬を調整する


・眠れない背景にあるストレスやメンタル不調も、まとめて診る


・働く方には、産業医の視点から、働き方(長時間労働など)への配慮も一緒に考える


「眠れない」を入り口に、心と体を丸ごと診られるのが、心療内科の強みだと思っています。


まとめ


・「眠れない」には入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害のタイプがあり、量(時間)と質(睡眠休養感)の両方が大切


・まずは薬より生活の見直し。朝〜日中の光と活動/夕方以降のカフェイン・寝酒・タバコ・寝る前スマホを減らす/昼寝は30分以内/「8時間眠らなきゃ」を手放す


・2週間以上続く・日中に支障が出るなら、うつや適応障害、睡眠時無呼吸が隠れていることも


・睡眠薬は悪者ではない。正しく使えば回復を助ける。認知行動療法(CBT-I)も有効


・受診をためらわないで。早すぎる受診なんてありません


ここまで読んで、こんな思いはありませんか?


「自分の不眠は、ただの寝不足じゃないのかもしれない」


「眠れないことを、一度ちゃんと相談してみたい」


Stay Fit Clinicは、港区南青山・外苑前駅近くにある、働く人のための内科・心療内科です。産業医として15社以上を担当している院長が、不眠の背景にあるストレスやメンタル不調まで含めて、一緒に見立てて立て直します。


「行くか迷っている段階」での相談でも構いません。






📩 英語でのお問い合わせも歓迎しています


Stay Fit Clinic 院長 薮野淳也


心療内科医・産業医・社会医学系専門医


著書『産業医が教える 会社の休み方』(中公新書ラクレ、2024年)


あわせて読みたい






参考文献


・厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」


・日本睡眠学会『睡眠医療ネクサス』Vol.1 No.3(2025年)「睡眠衛生」


1件のコメント


Slope IO
Slope IO
7月08日

When everything is occurring too quickly for contemplation and too precisely for error, there is a frenetic, breathless quiet. In this limited space between fall and velocity, the Slope Game seems to be a gauge of satisfaction and the present.

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