「会社に行きたくない」と感じる時に ── 産業医・心療内科医が伝える3つの段階
- stayfitclinic

- 2025年1月8日
- 読了時間: 6分
更新日:5月20日
こんにちは。
港区外苑前の心療内科・メンタルクリニック Stay Fit Clinic 院長の薮野淳也です。
産業医として、また心療内科医として外来診療を行っている中で、最も多く伺うご相談のひとつが「会社に行きたくない」というお気持ちです。
「行きたくない」と感じること自体は、誰にでもあります。
問題はそれが いつから・どれくらい続いているか です。
この記事では、「会社に行きたくない」と感じる方が、ご自身の状態をどう整理すればよいかを、産業医・心療内科医の立場から 3つの段階 に分けてお伝えします。
「会社に行きたくない」は、無視してはいけないサイン
まず大切な前提を共有します。
「会社に行きたくない」という気持ちは、心身の状態を示すサインのひとつ です。
一時的なものであれば心配は不要ですが、以下のような場合は、サインとして受け止めてみてください。
・朝、会社のことを考えると動けなくなる日が増えている
・日曜の夕方に憂うつな気分が強くなる
・「行きたくない」が2週間以上続いている
・体調(睡眠・食欲・集中力)にも変化が出ている
このような状態が続くと、判断する力そのものが落ちてしまい、極端な決断をしてしまいやすくなります。
そうなる前に、今の自分はどの段階にいるのか を整理することが大切です。
段階①「まず整える」── 生活と身体のリズムを取り戻す
最初の段階は、自分の生活・身体のリズムを整える ことです。
「整える」というのは、気分転換ではなく 戦略的な行動 です。
これがないと、次の段階に進んでも判断の精度が上がりません。
整えるべき5つのポイント
1. 睡眠リズム ── 毎日同じ時間に起きる。朝の光を浴びる
2. 食事 ── 1日3食、規則的に。食欲が落ちている場合は無理せず少しずつ
3. 運動 ── 軽いウォーキング、ストレッチ、できれば週2-3回の有酸素運動
4. 休養 ── 帰宅後・週末に頭を切り替える時間を意識的に作る
5. アルコール・カフェイン ── 摂りすぎていないか確認する
これらは「気合で頑張る」ものではなく、意識的に予定として組み込む ものです。
私は、自分自身もCrossFitを週2-3回「予定として」組み込んでいます。
整えることは、後回しにすると永遠にできません。
段階②「負荷を調整する」── 業務の量と環境を見直す
整えるだけでは改善しない場合、次は 仕事の負荷そのもの を見直す段階に入ります。
ここで重要なのが、「ハードワークが悪いわけではない」という前提です。
産業医として現場を見ていると、ハードワーカーには2種類いることに気づきます。
・ワーカホリック型 ── 我慢の総量で頑張り、燃え尽きやすい
・エンゲージメント型 ── 充実感を感じながら持続的に成果を出す
両者を分けるのは、負荷の上限を自分で把握できているか です。
負荷を調整するための具体策
・業務量の見直し:今の業務量は、自分の現状の体調で持続可能か?
・上司への相談:相談自体が「弱さ」ではない。業務調整の合意形成は権利
・人事部の活用:組織的な調整が必要なら、人事に相談する
・産業医面談の活用:産業医がいる職場であれば、面談は必ず使うべき仕組み
・業務環境の見直し:勤務時間、出社頻度、リモート活用など
産業医面談は、「不調を訴える場」ではなく「負荷の許容範囲を一緒に整理する場」として活用していただくと、選択肢の幅が広がります。
段階③「場所を変える」── 異動・転職という選択肢
整える努力をしても、負荷を調整しても、それでも「この場所では実力を発揮できない」と感じるなら、3つ目の段階に進みます。
それが「場所を変える」という選択肢です。
これは「逃げ」ではない
「異動」「転職」「退職」を、「逃げ」や「諦め」と捉える必要はありません。
ご自身が 実力を発揮できない仕事で体調を崩し続けるほうが、本人にとっても会社にとっても損失 です。
体調を整え、許容負荷を把握したうえで、
・社内異動の希望を出す
・転職活動を始める
・休職して、その間にゆっくり考える
これらはすべて、戦略的な「場所選び」の手段です。
ただし大事なこと:判断は体調が整ってから
ひとつだけ強調しておきたいのは、重い判断は体調が回復してから下す ということです。
体調が崩れているときに下した「辞めます」「異動します」という決断は、後から振り返ると違ったということもあります。
まず整える、整わなければ負荷を調整する、それでも難しければ場所を変える。
この順番で考えると、選択肢の精度が上がります。
医療機関への相談のタイミング
以下のような場合は、ぜひお早めに医療機関へご相談ください。
・「行きたくない」が2週間以上続いている
・睡眠・食欲・体重に変化がある
・休日も気分が晴れず、楽しいと感じることが減った
・仕事中の集中力が明らかに落ちている
・体調不良(頭痛・胃腸不調・慢性的な疲労)が続いている
「この程度で受診していいのか」と悩む段階で来院される方が、実際にはいちばん多いです。
早めに相談された方ほど、選べる打ち手が増えます。
Stay Fit Clinic でお手伝いできること
当院では、働く方の心身の不調に対して、以下のようなアプローチを統合してご提供しています。
・薬物療法(必要に応じて少量・短期から)
・漢方薬・鍼灸治療(薬に頼りすぎない治療)
・運動療法(CrossFit Aoyamaとの連携)
・産業医視点での職場対応サポート
・休職診断書のご相談(必要と判断した場合)
院長の薮野淳也は、多様な業界で15社以上の産業医として現場を見てきた経験を活かし、「体調を整える」だけでなく「働き続ける力を取り戻す」 ことを意識して診療しています。
まとめ
「会社に行きたくない」という気持ちを、以下の3段階で整理してみてください。
1. まず整える ── 生活と身体のリズムを取り戻す
2. 負荷を調整する ── 業務量・職場環境を見直す
3. 場所を変える ── 整えて調整しても難しいなら、戦略的に環境を変える
そして、重い判断は、体調が戻ってから下しましょう。
ひとりで抱え込まず、まずは「整える」ところから一緒に始めませんか。
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詳しくは著書『産業医が教える 会社の休み方』(中公新書ラクレ)でも解説しています。
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Stay Fit Clinic 院長 薮野淳也




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